つまりTwitterの凄さの本質は、最新情報20件の基本の時間軸(タイムライン)を、自分向けに自由に調合した親密軸の情報で満たせるということだ。情報の単位を140文字分という細かい時間単位で区切ったことで、より時間軸的にも親密軸的にもレリバンシーの高い情報で視界を満たすことができるのだ。
iPhoneと共に現れた3つめの軸
Twitterで情報のレリバンシーを高める3つめの要素は、筆者が「空間軸」と呼んでいる軸だ。そしてこれこそが、「iPhone×Twitter」を最強のコンビにしているポイントである。
実はiPhoneでは、Twitter用クライアント(Twitterを閲覧したり、投稿したりできるアプリケーション)が数多くある。その多くが、位置情報を活用している。iPhoneに内蔵したGPS(全地球測位システム)を活用して位置情報を取得し、例えば半径2キロメートル以内の最新のつぶやきを総覧できる。近くにいる人のつぶやきを見て、最寄り駅で「車両点検で電車が遅れ、ホームがあふれている」といった情報が分かったり、近くの店で「特別セールを実施中」であることが分かったりする。
さらに、位置情報と連携したTwitterは、コミュニケーションだけでなく、人々の行動パターンも変え始めた。例えば筆者の友人は、Twitterで、近所の飲食店オーナーと知り合いになった。会社にいても、自宅にいても、半径2キロメートル内のつぶやきにそのオーナーのつぶやきが表示されたので気になり、会話を始めて仲良くなった。
そして、筆者の誕生日パーティがTwitter経由で招集され、その飲食店で行われた。六本木にある「豚組 しゃぶ庵」というその店は、都内のTwitterユーザーが集う有名店の1つとなり、店の新メニューなどの情報もTwitterでつぶやき始めている。
このほかiPhoneとTwitterの組み合わせは、Twitterのリアルタイム性を強化した。パソコンを使うのと違って、iPhoneなら通勤中でも就寝前のベッドの中からでも、Twitterでつぶやける。iPhoneの登場で、人々がTwitterに接する時間帯が大きく広がったのだ。
iPhoneとの組み合わせで、Twitterに写真や動画、音といったテキスト以外の情報も増えた。多くのiPhone用Twitterクライアントは、簡単に写真を投稿できるようにしている。iPhoneのカメラを使って近くの風景や目の前の友人や食べ物を撮影し、その写真を自動的に写真共有サーバーに登録し、そのアドレスをTwitterのつぶやきに埋め込める。最近のパソコン用Twitterクライアントの多くは、つぶやきに埋め込まれたこれらの写真を自動的に表示するようになっており、Twitterが文字だけではないツールへと進化したように見えるのだ。
同様にiPhoneには、音を録音してつぶやきに埋め込めるクライアントや、動画を撮影してTwitterのつぶやきに埋め込めるクライアントもある。外出先からでもつぶやけるiPhoneのおかげで、Twitterのタイムラインでは、きれいな景色や、気持ちが安らぐ虫の声、そして楽しんでいる人々の動画まで楽しめるようになった。
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